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古市憲寿『古市くん、社会学を学び直しなさい!!』(光文社新書、2016年)読了。
登場する社会学者は、小熊英二、佐藤俊樹、上野千鶴子、仁平典宏、宮台真司、大澤真幸、山田昌弘、鈴木謙介、橋爪大三郎、吉川徹、本田由紀、開沼博の12名。
上野の某発言の出典がこの本だということで読んでみた。正直古市さんには興味がないし、したがってこの本にも全然期待はしていなかったんだけど、思ったよりはまともな内容だったかな。マルクス・パーソンズという二大巨頭やそのグランドセオリーとの距離感が世代によって違うとか、逆に思った以上に多くの者が共通して「社会学者」を「シャーマン」になぞらえて説明しているとかいった辺りの相違点・共通点はなかなか興味深かった。
そして12名の社会学者たちから社会学をめぐる立ち位置の異同をうかがえるような話を引き出せたのは、古市さんの特殊な立ち位置によるところも大きい気がする。つまり、いちおう社会学を知らない人ではないからスムーズにやり取りができるし、一方でプロとして地歩を固めているわけではなく半人前感がある*1から社会学者の方でもあまり遠慮せず言いたいことを言えるのではないか、ということ。切れないハサミにも使いようはあるというやつですかね。
仁平典宏『「ボランティア」の誕生と終焉――〈贈与のパラドックス〉の知識社会学』(名古屋大学出版会、2011年)はちょっと面白そうなので、あとで読むかも。
*1:失礼な言いようだけど、ご本人も意識的にそういうスタンスをとっておられるよね、たぶん。